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勝手にインタビュー | 学生バイトから実演販売の世界へ | 現在 | これから |


学生アルバイトで実演販売の世界に入ったそうですが?
--岡田--
うん。親父の商売が養鶏場だったんだけど、私が大学に通っている時に、家の鶏がニューカッスル病って言う伝染病にかかって、鶏が全部お釈迦。途端に親父の首が回らなく為っちゃった。
さすがに私も困ってね。何人かの友達に「効率の良いアルバイト無いか」って聞いて歩ったら、一人の奴が「俺には無理だけど、お前なら出来るかもしれないって」(笑)紹介されたのが、実演販売のアルバイトだったんだよね。

その友達も先見の明がありましたね!
--岡田--
持つべきは友達。どんな仕事にも向き不向きは有るんだろうけど、たまたま私は人前でしゃべる事が平気だったので、友達はこのアルバイトを薦めたんだろうね。
それに昭和39年、当時は経済が右肩上がりで、学生アルバイトが小生意気な事を言っても、新しい物や面白い物を提出するだけでお客が沸いて喜んでくれたんだねー。
お客もゆとりが有ったし、時代の勢いが私の稚拙なところも許してくれたんでしょうね。

当時月に50万円を稼ぐことも有ったとか?(現在の200万!)
--岡田--
どうだったかな−(笑)実演販売は当時から完全歩合制で、売れれば売れただけ、その代わり売れなきゃロハ、詰まり只働きで1銭にも為らない。
勿論うまく商った時は、当時のアルバイトの10倍20倍も稼ぐ時が有りましたよ。
売れなきゃゼロって言う恐怖を背負いながらね。(笑)若いから平気だったね。

口上のスタイルは学生時代から?
--岡田--
そうです。最初は人まねもしましたし、先輩たちの口上の良い所を取り入れて、自分為りにアレンジして台本を作りました。
台本が出来上がると、仲間の前で実際に遣って見て「其処はもう一寸ああだ、こうだ」と言いながら手直ししてお客の前に立つわけです。
口上が体に染み付くまでには、一年以上はかかると思いますね。
近頃は商品のサイクルが早いから、口上が身についた頃に新しい商品が出ていたりしてね、(笑)結構つらいですよね。

これぞ天職と思われたのでは?
--岡田--
天職もくそも無い。当時、私は芝居をやっていたんですが、芝居ではオマンマが戴けない、でも芝居はやりたい。芝居の稽古優先で、時間が自由に使える仕事はこれしか無かったんだよね。
暇な時に実演販売で稼いで、稼いだお金をまた芝居に使っちゃう。だから今まで就職した事も無いし、私としては実演販売は食う為のアルバイトのつもりでした。当時から、こんなに続けるとは思って居ませんでしたよ。




実際にお客さんの前に立つまで期間はどのくらい取るんですか?
--岡田--
私の場合はお客の前で何百回も何千回も繰り返していくうちに、口上も表現も、慣れるてくるんですよね。お客に何か聞かれてパッと答えられるまでには、一年くらいはかかりますかねー。
そんな事を言ってもテレビショッピングなんかの番組ですと、1週間くらいでヤラされちゃったり、ひどい時は「品物は此れとこれ」って渡されてすぐ表現しなくちゃ為らない時も有るしね。
ケース バイ ケースかな?

台本を書く時、商品の周辺知識はリサーチしますか?
--岡田--
リサーチ、下調べはしますよ。でも私がやる事だから知れてますけどね。
例えば、実際に商品のフライパンを使って料理を作るんだけど、見た目はプロ級。自分で言うのも何だけど、これが本当に旨そうなんだわ。
でもね−コレが食べたら不味いんだわ。(笑死)ほんとだって!(怒)
でも良いの。私の商売は料理を作る事じゃなくて、そのフライパンなり包丁なりを売る事なんだよね。だからリサーチより、その商品を使うと「そんな事もあんな事も出来るの?」といった生活提案なんだわ。此れを使えば明日から夢のような生活が出来るとか言いながら。でも提案が意外と見つかん無いんだよな〜。(笑)
実際に商品は切り口を変えたり、提出の仕方で爆発的に売れる事も有るんだよね。だから商品の切り口とストーリー性には拘るけどね。

レパートリーは幾つくらい?
--岡田--
普通は実演販売の世界では、生涯3つか4つのレパートリーだと思いますがね。と言うのも実演販売の商品ってのは、皆さんが考えてる程、種類が無いんだわ。
仕入れや在庫の事を考えても効率の事を見考えても、売る物は1つの商品で通しちゃった方が楽だし、だいいち、口上を1つだけ覚えれば良いしね。(笑)
私の知り合いで40年間1つの商品で通した人がいるけど其れは其れで大したもんです。
私の場合は、産まれ付いての小器用さと適応力(八方美人、飽き性等と家人は言う)で30種類程度のレパートリー(家人は幾つかは付け焼刃だと言う、否定)が有ります。
今、私の売っている皮むき器は売り出してから5年くらい経っているけどね。

品物は岡田さんが選ぶんですか?
--岡田--
商品を自分で選ぶことも有るし、持ち込まれて依頼される事も有りますね。
依頼されてもお断りする事も有ります。自分が気に入らなきゃ出来ないしね。
売場のお客の反応を見ながら、メーカーと協力して商品を開発する事も有りますね。
でも本当は、品物は私が選ぶんじゃなく、お客が選ぶんだよね。
その時、私のやる事は品物をお客の前に持って行くだけじゃーないですか。商品を嗅ぎ分け目を皿に耳をダンボにして口を滑らかにね。

全く売れない事も有りますか?
--岡田--
有るなんてなもんじゃないね。(自慢)腐るほど有る。有りすぎて困るくらい有る。
もしその商品を飾っておいたら、大英博物館真っ青。寧ろ売れる商品に当る方が稀。(泣)
私に出来る事で、他に儲かる商売が有ったら是非教えて欲しいね。

そう言う時は台本を変えるんですか?
--岡田--
ノー、昔はそうしてたんですけどね。石原さんの本を読んでから、私もノーと言える日本人に為りました。詰まり、売れない時は商品を取っ替えちゃうんだな。(笑)

任せれば何でも売れると言う風潮すら有りますが? 
--岡田--
そう思われれば(思う壺、口が滑りました)有り難い事です。正直な所、困るんですよ。私は売れる物を他人よりも、ほんの少し多く売れるだけなんですね。
実演に使う包丁は良く研いで、実際に売ってる包丁はナマクラなんて話は昔と違って金輪際有りません。 世間が許してくれないんです。
商品の力は五十歩百歩ですから後は売り方ですよね。
提出の仕方が勝負になります。詰まり、売れ無いのは商品が悪くて売れ無いんじゃなく、売り方が悪いから売れないんです。困った事に今の商品はどれも此れも結構良いんですよね−。



30代前半演劇を辞めたのは?
--岡田--
芝居を諦めたのは、やっぱり挫折でしょうね。実は、私は結婚したのも、子供が出来たのも早かったんだわ。だから早いうちに世間のことが嫌でも見えてきちゃった。(家人は生活費に困っただけでしょうと言う)こんな事してる場合じゃ無いってさ(笑)まぁ経済的な問題だよね。で身近に有った実演販売の商売を始めたって訳。
滑り出しは順調で、社員は10人くらい居た。元々芝居好きの演劇青年、勧進帳は出来ても台帳記入は出来ない。電卓も使わず見事な丼勘定(笑)
お待たせしました倒産です。

倒産の憂き目に?
--岡田--
まさに絵に描いたような倒産。当然一銭無しの無一文。裸一貫出直そうと裸になったら、結核になちゃった。弱り目に祟り目。
其れでも半年くらいで退院オメデトウって退院したら借金取りがてぐすね引いて待ってたね。私は東京に用は無いから、各地を転々(家人は自業自得の無責任と言う)。

さらりと言って除けてくれますが当時は大変だったでしょう?
--岡田--
周りの人たちは、物凄く大変だったんじゃ無いかな−と思いますよ。
其れを思い悩むと、うつ病に為って電車に飛び込んじゃうし、頑張りすぎると首くくっちゃうでしょう。私は致し方なく諦める事(大英断)にしました。(家人はロクデナシ無責任と勘違い)結局どこかで開き直らなきゃ生きられない。
其れには事の善悪は省みず、借金を返さないって事を決断しなきゃ為りません。(苦渋の選択)当然社会的な制裁は覚悟しなければ為りませんがね。でも曲りなりにもチャッカリ生きて居たから、家族も自分も有るのだと思うんだわ。

借金取りが現れて実演販売に影響は出ませんでしたか?
--岡田--
此れは私の日々鍛錬の賜物(家人はアンポンタンと言う)なんでしょうが、お客の前に立った時は、借金取りが束になって来ても、スラスラ喋れちゃうんですよ。
お客が居なくなると途端にしどろもどろ、だから必死になってお客を絶やさない様に喋り捲る。借金取りが居たほうが、何時もより熱が入って売れたりしました。(笑)




テレビショッピングの他、最近は「ヤフースタイル」などネット上での実演販売もスタートしましたね? 
--岡田--
私は、喋って物を売るって事しか知らない訳ですよ。世間に物や情報が溢れ返っちゃって、昔みたいにお客は簡単に寄ってくれない。
品物だけで勝負すると、私の扱ってる商品は、隣のデパートでも売ってるし、ウッカリすると近所のスーパーでも売ってる。
近頃は家に居てインターネットでもテレビショッピングでも電話1本でモノが買えるよね。だから私がね、幾ら安いよ安いよと声を嗄らせても、本当はもっと安い所が有るってお客は知ってる訳ですよ。
実演販売が無くなるとは思っていませんが、デパートだけじゃなくその他の場所でも良いんじゃ無いかなと思って色んな事を始めたんですがね。
其れがテレビでありネットであり、此れからも可能性を求めて、実演販売の間口を広げていくのが私の仕事だと思うんだわ。今も実験的なものは随分やっていますよ。

海外での実演販売も成功しました?
--岡田--
中国ではテレビを使って、モップを売って見ました。あんまり儲からなかったなぁ。
中国は人口の割にテレビの数が少ないからね。(笑)
でも人口は多いから未来は有るでしょう。アフリカのケニアではマサイ族に蚊取り線香。酷寒のモンゴルでは遊牧民にホカロンを売りました。
単語は五つくらいで、後は身振り手振りてんですから(家人は鉄面皮と言う)現地の人から見れば、何だろう?って、変な親父が一生懸命喋ってね、ナニ言ってるんだか解らないけど、しょうがね−から、少し付き合ってやるかってなもんでしょうね。
現地の人達に取り囲まれて、もしかしたら食われちゃうんじゃないかなーってくらい、繁盛しましたけどね。(笑)

紆余屈折を経て今の岡田さんが有るわけですが?
--岡田--
この歳になって反省しちゃ駄目。この歳で反省してたら、今までの人生なんだったんだって事に為っちゃうでしょう(家人は詭弁と言う)。
反省するのは40歳まで!(家人はどうせ私が60になれば、反省は50までと言うに決まってると言う)40歳だったら取り返せますからね。
私自身はこのまま面白可笑しく人生が終われば良いと思っていますしね。お金もそんなに儲けようとは考えていないしね。金儲けだったら、実演販売よりも効率の良い仕事が他に沢山あると思いますよ。
私は物売りの端くれですから、仕事は楽しくなきゃ嫌だって所も有るし、間口を広げつつ、いま自分に出来る事は何だろうってね。もし広がる可能性が有れば勘定が合わなくても、新しい事に付き合って行きたいですね。いまさら儲かっても嫌な仕事は付き合わない様にしてます。
反省をしない分いま出来る事は、きっちり選んでいますね。




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